ロングボードのフィンの種類と選び方
サーフィンの要ともいえるフィンは、選び方によって乗り心地が随分変わります。ロングボードにおいても、フィンを変えるだけでサーフボードの性質すら変わってしまうほどです。しかし、フィンに興味が湧かない方も少なくはありません。このページではロングボードにおけるフィンの種類や選び方を紹介します。
ロングボードのフィンとは?
フィンと一言でいっても、やはりその種類や性質はさまざまです。まずは、フィンのことを正しく知るために、その性質をおさらいしておきましょう。
ロングボードのフィンの種類
ロングボードのフィンは、大きく分類すると、2つに別れます。ひとつは「シングルフィン」と呼ばれるタイプで、ノーズライディングをすることに重点を置いているのが特徴です。スタンダードなフィンやクラッシックタイプを選ぶ方が多く、サイズは大きめになります。
ふたつめは、「シングルスタビライザー」と呼ばれるタイプです。「シングルスタビライザー」は、シングルフィン+スタビライザーフィンという意味合いです(1+2/ワンプラスツー)。センターに用いるフィン1本(センターフィン)両サイドに用いるスタビライザーフィンが2本、計3本が、このタイプになります。
このタイプは、操作性を活かすことに重点を置き、センターフィンよりも小さめのフィンを両サイドにセッティングするのが一般的です。
ショートボード等によく見られる3本のフィンは、「トライフィン」や「スラスター」などと呼ばれていますが、ロングボードにおいてはシングルフィンがメインであることは変わらず、「シングルスタビライザー」「シングルスタビ」などと言ったりもします。
フィンの大きさについて
ロングボードの場合、フィンの大きさによっても機能がずいぶんと異なります。例えば、面積が広く、大きめのフィンであれば直進する際に安定感が得られます。ただし、あまりに大きすぎるフィンを選ぶと、曲がりにくいといったデメリットが生じます。
一方、小さめのフィンは水の抵抗が少なく、回転しやすいためアクティブに動きやすいと言えますが、同時に不安定であるとも言えます。自分が使っているボードのタイプや波の状態、ライディングスタイルに合わせて、フィンの大きさを調整することが、とても大切となります。
※ロングボードのセンターフィンのサイズは、一般的にサーフボードのサイズが1フィートに対してフィンのサイズは1インチの高さで計算して選びます。例えば、9フィートなら9インチ、10フィートなら10インチのフィンが最適となります。(1フィートはおよそ30cm、1インチはおよそ3㎝)
初心者のうちはサーフスタイルに合わせて選ぶよりも、ボードのサイズに対応したフィンを選ぶのが失敗が少なく無難です。
硬さも選ぼう
フィンは大きさやカタチだけではなく硬さも重要です。それには、素材が大きく影響しており、どんな素材が使われているかによって、フィンのしなやかさ(フレックス性)が違ってきます。
ただ、しなやであることが一概に良いというわけではなく、硬いフィンと合わせて、特徴を理解することが大切です。
しなやかなフィンの場合、まずはコントロールしやすい、という特徴があります。パワーの乏しい波やサイズの小さな波にも向いていて、女性向けのフィンともいえます。ゆえにパワーのある波、サイズの大きな波には不向きとなります。
一方、硬いフィンの特徴は、安定したターンを決めやすい、ということにあります。また、波のサイズや力が大きくても、しっかりとホールドしてくれるのがメリットです。
このように、概ねの特徴を理解し、波の状態や自分のライディングスタイルによって、フィンを選ぶこともサーフィン上達、そして楽しむ上でたいへん重要となります。
フィンを選ぶ際のポイント
大きさや硬さに加えて、ロングボードのフィン選びはさまざまな要素が影響してきます。自分がどのようなサーフィンを望んでいるかによってもフィンは変わってきます。その際にチェックしておくべきポイントを押さえていきましょう。
ターンはフィンの角度が重要
フィンが持つ角度をスウィープといいます。フィンにおける前側部分(進行方向)の縁が、どれくらいの角度なのかもフィン選びに欠かせないポイントです。例えば、ベースに対し、大きな角度を持っている(立っている)フィンは、スピードを出しやすくターンも大きくなります。
一方、スウィープが小さいフィンは、操作性が良くなり、機敏なターンができるようになります。よって、クルクルとアクティブに動くことが可能です。
スピードやコントロールを司るフォイル
フォイルとは、フィンの面における形のことを言います。特に重要視するのはフィンの内側で、フラットなタイプや凹曲面を描くタイプなど、さまざまです。
凹の形をしているフォイルは、いわゆるインサイドフォイルと呼ばれ、水の抵抗が少なく、滑らかなターンが可能です。また減速しにくい、といった特徴もあります。一方、フラットなタイプは抵抗が大きく、それを利用してソリッドな方向転換などをしやすくします。
フィンの傾きでターン時の反応も変わる
フィンの傾きのことをカントと呼びます。この角度が大きければ大きいほど、ターンをするさい、サーフボードからの反応は得やすくなります。一方、カントの小さいフィンはターンの反応よりも直進性が増すという特徴があります。
シングルスタビライザー/1プラス2
ロングボードは、フィンの数でも大きく性能が変わってきます。近年、多くのサーファーが取り入れているのが、シングルスタビライザーです。大きいシングルフィンが1本とスタビライザーフィンの2本の計3本のフィンを使うパターンです。
直進性能はやや低下しますが、バランス感覚をうまく保つことができ、クイックなターンもしやすくなります。初心者の方でもコントロールしやすく、おすすめのスタイルといえます。
ノーズライドをするためにはシングルフィン
ロングボードを始めた方であれば、誰もがチャレンジしたいであろう技、ノーズライド/ノーズライディング(ボードのノーズに体を移動させることでスピードを上げていく技)
このノーズライドを成功させるためにはシングルフィンが必須となります。一枚のフィンで乗るわけですから、安定性を保つためにも、フィンの面積が大きい方がノーズライドも成功しやすいと言えます。
また、シングルフィンだとウエイトの軽い方でも、サーフボードを傾けやすくなるというメリットがあります。ただし、複数のフィンを装着するよりも安定性は低下するので、サーフボード自体も長く大きなものが必要となります。
シングルフィンお勧めブランド
TRUE AMES/トゥルーエイムス
1979年にアメリカで立ち上げられた老舗のサーフィンカンパニーのTRUE AMESは、世界中のサーファーたちを魅了しているブランドです。
どんなシーンでも使えるフィンでありながら、高性能なアイテムも多く、世界の名だたるプロサーファーも愛用しています。言わずと知れた世界的レベルを誇るフィンといっても過言ではないでしょう。
中でもシェイパーデザイナーであるリッチ・パベルがデザインしたフィンは、優れたパフォーマンスを実現させる上でおすすめです。
【おすすめのポイント】
- リッチ・パベル監修による特徴的なシェイプ
- 流動性が高いフィン
TCAPTAIN FIN/キャプテンフィン
カリフォルニア生まれのブランドCAPTIAN FINは、ロングボード用のフィンをはじめとしラインナップもかなり豊富で、多くのサーファーに愛されています。
テンプレートモデルに加えて、一つ一つオリジナルのデザインが施されているものまであることから、そのこだわりが伝わります。デザイン性の高さはもちろん、機能性もしっかりと融合されており、オリジナリティの高さに関しては定評があります。
【おすすめのポイント】
- デザイン性が高いテンプレモデル
- 機能性も抜群
まとめ
ロングボードを楽しむためには、フィンの特性をよく知ってうまく利用することが大切です。また、自分自身がどんなスタイルでサーフィンをやっていくのか、波の状態はどうなのかなどフィンに関わってくる要素はたくさんあるでしょう。
逆をいえば、ロングボードでサーフィンをしようと思えば、フィンに全てがかかっているといっても過言ではありません。
上級レベルの方はフィンの使い分けで、日々変わる波を乗りこなしている面があります。初心者の方にとっても、フィンに注目することで一気にレベルが上がる可能性があるでしょう。