サーフィンの技を知りたい!

東京2020オリンピックでは、サーフィン会場が千葉の一宮、釣ヶ崎海岸に選ばれ、大いに盛り上がりましたね。 具体的な技を知っているのと知らないのでは、楽しみ方が大きく変わります。 技の宝庫でもあるサーフィンも、比較的すぐできる簡単な技から、めちゃくちゃ練習しないと無理な難易度の高い技、見た目以上にムズい技、そしてもはや人間業じゃないだろってレベルの超絶技まで。 今後のサーフィン大会をさらに楽しむためにも、そんな技の数々は、ぜひ知っておきたいですよね。
- スープ 崩れた波が押し寄せてくる白い波の部分
- カール 波がクルっと巻いた部分
- リップ 波がカールする直前の上端
- ボトム 傾斜面から降りた部分
- フェイス 傾斜になった波の面
- ショルダー このあと崩れていく部分
- 「ほれた波」とは?
サーフィンですべる部分(フェイス)がカールして、立ち上がっているような波のことを「掘れた波」と言います。 この波のフェイスは斜度がきつく、ボードは一気に加速します。 初心者には難しいですが、スピードも出やすく上級者には喜ばれます。(例)「あそこのポイントは、掘れた波が立ってて楽しいよ」 -
「あつい波」とは?
掘れた波とは対照的にで、フェイスの立ち上がりが弱いため、斜度が緩く、ボードのスピードが上がらない波の事を「厚い波」と言います。 初心者の方の練習には向きますが、スピードが出ないので上級者はあまり乗りません。(例)「今日は厚い波ばっかりだからやめとく?」 -
「キレた波」とは?
波のピーク(一番最初にブレイクする場所)がハッキリしていて、そこからショルダーにかけて順序良くキレイに崩れる(ブレイクする)波のこと、サーフィンをするのに最適な波。(例)「今日は波がキレていて最高だったよ」 -
「速い波」とは?
ピークからショルダーにかけて順々に割れていく波の速度が速いということ。波に合わせてスピードを出せる上手いサーファーに限って言えば、適度に速いブレイクの方がスピーディーなライディングを楽しめる。(例)「今日は波が早くて厳しいよ~」 -
「つながった波」「ワイドな波」とは?
ひとつのウネリがブレイクしていく過程で岸に平行に複数のピークがあり、それぞれのピークがはっきりせず、まるでピークがつながっているかの様に、幅広い範囲で同時に崩れてしまう波。 幅広い範囲で一気に崩れてしまう波をワイドな波と言い、つながった波とほぼ同じ意味で使います。(例)「今日はつながっていて切れ目が難しいな」 - 「まとまりがない波」とは?
オンショア(沖から浜に吹く風の事)の影響で面が荒れていて、いろんな場所でブレイクしている状態。ピークも移動することが多く、疲れてしまいやすい。 - 「チューブ」とは?
ほれた波の中でも、岸に向ってリップが飛び出してフェイスとの間に筒状の波の空洞を作り出す波のことを「チューブ」・「チューブ波」あるいは「バレル」と言います。チューブ・ライディングは、波乗りの醍醐味のひとつ。
テクニックの説明/ショートボード編
※一部ロングボードと共通します
サーフィンのショートボードには、本当に数えきれないほどの技がありますね! 波の状況、セクションの形、サーファーのスタイルによって同じ技でも見え方が変わるので、奥が深いです。
ここでは、基本的なものから上級者向けの代表的な技まで、いくつかピックアップしてご紹介します。
ショートボードの主な技
1. 基本的な技 (Fundamentals)
これらの技は、他の多くの技の基礎となります。
- パドリング(paddling)
水面を波に向かって進む基本動作です。ボードの上に腹ばいになって、両手で交互に水を漕いで進みます。ボードが思うように進まないときは重心を前後にずらして丁度よい位置を探します。ポイントは「ボードの中心とおへそ」。胸がボードにつかないように上体を反った形でパドルします。
▲山中プロによる説明/出典youtube Surfing TV
- テイクオフ (Take Off)
波に乗る最初の動作。パドリングから立ち上がり、波の斜面を滑り降りる。全ての技のスタート地点。
- ドルフィンスルー(dolphin through)
沖へ出る際、波の力をまともに受けて無駄な体力を消耗しないためにも、ドルフィンスルーを習得することは有利と言えます。ドルフィンスルーは押し寄せる波の下をサーフボードと一緒にくぐり抜けるテクニックです。波が目の前にやってきたら、両手でサーフボードのレールをおさえ、ノーズを海面に刺すように押し込み、ボードと一緒に水中に潜ります。この時ヒザ(小波時)またはつま先をテールに付けて蹴り込み、全身でサーフボードを押し込みます。水中では波をやり過ごすようにタイミングを見計らい、波が自分の上を越えたらノーズを上げて、前方にサーフボードを送り出していきながら波の裏側に浮上します。
- ボトムターン (Bottom Turn)
波のフェイス(斜面)を滑り降りた直後に、進行方向を変えるためのターン。波のパワーゾーンを使い、次の技への加速と方向付けを行う、最も重要な基本技。
- アップス&ダウンズ (Ups & Downs):
波のフェイスを上下に効率よく使い、スピードを維持・加速させる動き。波のパワーゾーンにボードを常に置くことで、次の技への準備をする。
- トップターン (Top Turn)
波のトップ(一番高い部分)でボードの方向を反転させるターン。スピードを活かして波のリップ(崩れる部分)にアプローチし、ボードを返す。様々なバリエーションの元となる。
2. アクション系の技 (Maneuvers)
スピードとパワーを活かして波のリップやフェイスにアプローチする技。
- カットバック (Cutback)
波の進行方向から逆向きに大きく弧を描いてターンし、波のポケット(パワーゾーン)に戻る技。波の力を最大限に利用し、次のセクションへと繋ぐ。
- オフザリップ (Off The Lip / OTL)
波が崩れるリップにボードを当て込み、垂直に跳ね上げて方向転換する技。スプレーを上げ、高いエアーを伴うことも。様々な角度やスピードで行われる。
- リッピング (Ripping)
オフザリップやトップターンを波のポケットで連続して行う、アグレッシブな動き全般。スプレーを上げながら、波の力を引き出すような連動した動き。
- フローター (Floater)
崩れてくる波のリップやホワイトウォーター(泡の部分)の上をボードの腹で滑るように通過する技。波の崩れるタイミングに合わせて、危険を回避しつつスタイルを見せる。
- ラウンドハウスカットバック (Roundhouse Cutback)
通常のカットバックよりもボードをより深く傾け、波の崩れる部分にボードを当て込むような、大きな弧を描く力強いカットバック。
3. エアー系の技 (Aerials)
波のリップを利用してボードごと空中へ飛び出す技。
- エアー (Air)
波のリップからボードごと飛び出し、着地する最も基本的なエアー技。 - エアリアル (Aerial)
エアーの総称。ボードの向きや体のひねり、グラブ(ボードを掴む)の有無で様々なバリエーションがある。 - フロントサイドエアー (Frontside Air)
波のフェイスに対して体を向けて(フロントサイドで)飛び出すエアー。 - バックサイドエアー (Backside Air)
波のフェイスに対して背を向けて(バックサイドで)飛び出すエアー。 - リバースエアー (Reverse Air)
空中でボードを進行方向と逆向きに180度以上回転させて着地するエアー。 - フルローテーション (Full Rotation Air)
空中で360度ボードと体を回転させて着地するエアー。非常に難易度が高い。 - キックフリップ (Kickflip)
空中でボードを足で回転させるスケートボードのような技。非常に稀で高難度。
4. チューブライディング (Tube Riding)
波が巻いてできる筒状の空間(チューブ)の中を滑り抜ける究極の技。
- チューブ (Tube)
波が完璧に巻いて形成される筒状の空間の中を滑り抜ける。最も難しく、サーフィン最大の魅力とされる技。 - バレル (Barrel)
チューブと同じ意味合いで使われることが多い。波の完璧なチューブを指す。
5. その他 (Other)
- カービング (Carving)
レール(ボードのエッジ)を波のフェイスに深く食い込ませ、波の斜面全体を使いながら大きな弧を描くターン。スピードとフローを重視する。 - ローラーコースター (Roller Coaster)
波のリップに縦方向にボードを当て込み、波の崩れる勢いと共に滑り降りてくる技。スピードとバランスが必要。 - スナップ (Snap)
波のリップでボードを素早く鋭角に回転させるような技。小さめのスプレーを上げ、よりタイトな動き。 - エアーリバース (Air Reverse)
オフザリップからエアーに繋がり、空中でボードを反転させて着地する複合技。
これらの技は、波のコンディション、サーファーのスキル、そしてスタイルによって無限のバリエーションが生まれます。一つ一つの技を極めることも、それらを波のセクションに合わせてスムーズに繋げていくこと(フロー)も、ショートボードサーフィンの醍醐味ですね。
テクニックの説明/ロングボード編
※一部ショートボードと共通します
ロングボードは、その長さと浮力を活かした優雅な動きや、ノーズ(ボードの先端)に乗るスタイルが特徴的です。
以下、基本的なものからロングボードならではの代表的な技まで、ご紹介します。